◆ 刀談 ◆
この脇差しは「にっかり青江」っていうんだ。昔々のお侍さんがね、夜の山道を歩いていたら、こーんな夜中なのに若い女が近づいてきたんだって! しかも、にっかりと笑いながら! 「これは化け物に違いない」と女を切り捨てたんだけど、翌日確かめたらなんとそこにはまっぷたつの石灯籠が転がってて…って、にか、そんなの怖くないもん。
「にっかり青江」の由来である、にっかり笑った妖怪女を斬ったら…っていうのはね、地蔵の首が転がっていたとか、不動尊の顔だったとか似たような話がいくつかあるんだよ。あと、青江っていうのは青江さん! 青江貞次(あおえさだつぐ)さんっていう人がこの刀を作ったって言われてるんだー。ねえ、にかの笑顔かわいい?
実はこの脇差し、元は75cmくらいの太刀だったんだけど、それからどんどん磨き上げられて短くなっちゃったんだ。だからねぇ、刀に彫った持ち主さんの名前が一文字だけ切れちゃっててよくわかんないの。丹羽長秀(にわ ながひで)さんか息子の長重(ながしげ)さんのどっちかだって。たぶんねぇ、にかは息子さんの方だと思うよ?