◆ 刀談 ◆
この太刀は「一期一振(いちごひとふり)」って言われてるんだ。なぜか聞きたい? 聞きたいよね? これ逃すともう聞けないよ? うんうん、それはね、いつも短刀ばかり作ってた粟田口吉光(あわたぐち よしみつ)さんが、生涯で唯一! 太刀を作ったのがこの一振りだけだからなんだって! 一生に一振り……きっと大切な想いが込められてるんだろうねぇ。
時の覇者・豊臣秀吉さんは、一期一振を毛利輝元さんちで見つけたんだけど、しつこく欲しいって言って聞かなかったみたい。しかも86センチもあった太刀を自分の小柄な体格に合わせて69センチにまで磨き上げさせたんだって。最初と全然違うじゃん! まぁ〜しつこかったって事はきっとはじめて会ったとき「これだ!」って思ったんだろうなぁ。
秀吉さんが亡くなった後も一期一振は豊臣家にあったんだけど、大阪夏の陣で落城した際の火災で焼けちゃったんだ…。でも、焼けた一期一振を徳川家康さんが打ち直させて見事、甦ったんだよ! またみんなと会えて嬉しかっただろうなぁ。